うたもち現代詩

詩を書き連ねる場所

No.119 暗闇

 

それでも彼は歩くことをやめなかった
しかし果てに見えた小さな光が徐々に
大きくなってゆくと同時に寂しくなり
暗闇の中で立ち止まり少し考えていた

 

憂鬱はいつも自分の腹の中で歩き回り
罵ったり慰めたり抱き寄せたりしては
彼の食道を通り口から這い出て来ると
暗闇の中で立ち止まる彼の肩を掴んだ

 

憂鬱が囁く魅力的な世界のあり方には
破滅と絶望の匂いがして彼は微笑んだ
何故なら彼にはその匂いが美味そうで
暗闇こそ生きるべき所と信じたからだ

 

光は立ち止まる彼を目掛け近付いては
彼を飲み込もうとしたので彼は逃げた
彼は彼の信じる彼の中の破滅と絶望を
暗闇で見付けた途端光に飲まれていた

 

光は彼を取り込んで現実の朝に戻した
彼は暗闇を忘れて目覚めて支度をした
予定までの時間を計算して想像をする
暗闇から抜け出した彼は歯車に戻った