うたもち現代詩

詩を書き連ねる場所

No.107 映画

 

部屋を暗くしてテレビの近くで
寝転がりながら映画を観ていた

 

外は土砂降り 叩きつけられた雨
映画の音を遮るほど響いている

 

夕暮れが過ぎて やがて夜になる
外の雨は弱まることはなく
映画は流れ続けている

 

疲れ果てた目が反射的に涙を流しているのか
疲れるほど悲しい映画が涙を流させるのか

 

台詞が頭の中で反響する
音楽が頭の中でかき混ぜられる
映像が頭の中に描き写される
物語が頭の中に刻み込まれる

 

映画が頭の中でしっかりと根付いてゆく
そしてそれは枯れることなく
青々とした葉をつけて風に揺れている
しかし現実の雨が止むことはない

 

現実から離れることこそが
痛みを紛らわすために必要なことだ
そして頭の中で根付いた映画たちは
現実を加工して装飾してゆく

 

記憶はどんどん映画のようになり
映画はどんどん記憶の代わりになる