No.103 陰干し
疑問符ばかりが張り付いて
君の顔は強張っている
跡形もなく消し去りたい
その疑問符を剥がしたい
やけに思い出が重なるから
ミルフィーユのようにフォークで切って
その切り口の見事さを笑って
君と平らげてしまいたい
君に出来ることを数えて
僕が出来ないことを数えて
数え終わらないうちに飽き飽きして
部屋に閉じこもっている二人がいて
物干し竿から顔を覗かせる
ぬいぐるみが親しげに問いかける
「笑った顔はどこへ行ったの?」
畳んでしまった洗濯物の中
ハンガーに袖を通した衣類
まだ畳まれていない新しい思い
君が笑った顔のデザインを
今は暗がりで探している