暗い朝に吹く風
午前十時になっても雲は
重たく広がり灰色を落とす
アスファルトを反射しているようで
空と地面に挟まれて息苦しい
二つの思いに押し潰されて
死んでしまった昨日の気持ちのようだ
僕は有名な小説の台詞を思い出して
その主人公と同じように孤独を味わった
結末はいつも報われないものばかり
僕はそういうものを好んで選んでいた
それに気が付くと
挟まれて息苦しいのにも納得がいく
全てを受け入れて痛みを忘れれば
アスファルト色の曇り空も
曇り空色のアスファルトも
大した問題ではないと感じて
前を見て歩き出せる気がする
しかし物凄い速さと音で通り過ぎる車に
芽生えたばかりの気持ちが摘み取られ
吐き捨てられた排気ガスの横で
今日も死んだ気持ちが横たわる
皮肉を言う元気さえあれば良いのに
皮肉なことに身体だけは丈夫なままに
心の方はやつれて見る影も無くなって
やがて身体とは別々に
歩き始めるような気がしてならない