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うたもち現代詩

詩を書き連ねる場所。

No.86 Untitled

 

静寂を破って
どうしようもない罵声を
浴びせられるような
そんな気分になる午後

電子音の波がイヤホンから聞こえる
地を這うような低音が鼓膜を揺らす
誰よりも惨めで残酷な運命を抱いて
何処かに辿り着くまで穴を掘るような音

誰も知らない秘密を持っている
誰にも見せられない傷を負っている
誰かになりたいと思っている
誰かを陥れようと企んでいる

自分は自分だと証明出来るものが
この世に一つでもあるなら
情熱を注いで 命を費やして
今この時を飾り立て 彩ることも出来るのに

透明人間になった気がする
自分が何処を漂っているのかわからなくなる
せめてこの耳で鳴り響く音のように
何処かに辿り着くまで穴を掘れたら良い

悲しいことにそんな道具もない
虚しいことに誰かの手も借りられない
自分が自分であることを見失うほど
仮の自分が自分であると信じ込んでしまう

不安で押し潰されそうだ
煙草が身体中に巡り煙になりそうだ
不健康で不健全など構いはしない
堕落してこそ本当の自分になれそうだ