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うたもち現代詩

詩を書き連ねる場所。

No.82 思切

 

絵を描く彼の顔を誰が見たのだろうか
彼を知る人はどのくらいいるだろうか
狭い部屋を埋め尽くすように本が並び
その本と同じくらい絵が飾ってあった

 

彼の名を覚えている人はいるだろうか
彼は誰に愛されて誰を愛していたのか
夢追う彼に少年は希望を持っていたが
大人になる頃には夢を諦めてしまった

 

彼が夢を教えたと彼は知っているのか
そんな夢は彼を幸福にしたのだろうか
少年が大人になるには時間だけ必要で
夢は時間を潰すだけの手段だったのか

 

目眩く「もしそうなら」という空想に
足を取られ大人になった少年は悩んだ
彼の言葉や贈り物を数えてみたものの
情熱や希望だけでは息も出来なかった

 

いつしか少年も彼を忘れるのだろうか
そして彼は少年を覚えているだろうか
もう一度二人が出会えば夢は再燃して
消えた情熱や希望も蘇るのだろうか…