うたもち現代詩

詩を書き連ねる場所

No.76 食べられない僕

 

 

食べられないものは全て無意味で
僕は生きるために生きているので
邪魔はしないで お願いだから
「食えない奴だ」と罵らないで

 

味付けするよ 愛想の良さで
甘味をつけて 毒舌のスパイス
僕はあなたの好みに変えるから
あなたも食える奴に変身しておくれ

 

楽しい飲み会 そんなものはない
酒も飲めないし 煙草がすすむだけ
暗い顔していると「情けない奴だ」
情けをおすそ分けするから放っておいて

 

わけのわからない台詞の端々に
鵜呑みに出来ないもので僕は傷ついて
喉はズタズタで 通らなくなったものを
吐き出してはまた席に戻る

 

帰りの電車 涙目なら もう明日から
口も聞かずに一人で閉じこもりたいけれど
僕は今生きるために必死に生きている
だからお願い 食べさせるから「食べておくれ」

 

自分で味付けて調理したはずなのに
必要な免許も持ってないから舌に合わないらしい
「食えない奴」は食えないまま腐って捨てられ
かろうじて三角コーナーに引っかかっている

 

皮肉という美味しいお肉があるから
ナイフとフォークで切り刻んでみて
肉汁が溢れると 僕の大切な何かまで溢れて
鉄板の上で音を鳴らして それが悲鳴に聞こえる