うたもち現代詩

詩を書き連ねる場所

No.75 不都合な世界

 

 

姿形を真似してみても
鏡の前では正直ね
くまが出来てみすぼらしい
同情する男に抱かれた後

 

夢を見た 愛されていた
白馬に乗ったゾンビが
私を食べて 残りを捨てた
白馬が私を踏んづけた

 

ありがとうと 呟いたら
ゾンビは会釈をして去った
苦しいけれど 気持ち良かった
こんな死に方なら素晴らしい

 

きっと私は 違う星から来て
その星に夫と子供がいて
「首を長くして待っている」と
泣きながら囁くと目が覚めた

 

空を飛ぶ鳥に挨拶をして
宙を舞う埃に口付けて
またこの顔を飾り立てて
男の元に辿り着くの

 

私は今 何をしているのか
わからなくなるたびに心地良い
生きているか死んでいるかわからずに
彷徨う白馬のゾンビ様のように

 

私は行き着いた ビルの屋上から
秘めた恋心の先にある彼を見て
届かない腕を伸ばしながら
しっかりと靴を脱いで揃えている

 

彼とは口をきいたこともない

彼との時間は私にしか見えない

あの男に抱かれていた時も

目を閉じて彼に抱かれていた

 

言い残すこと たいして見つからない

彼に伝えるべき言葉もない

空には朝に出会った鳥が飛んで

私の肩には口付けた埃が付いている