うたもち現代詩

詩を書き連ねる場所。

No.69 流れ着く先

 

触れたら溶け出す 氷のように
かけがえのないものが 液体に変わる
狂い出した時計の針を止めて
雁字搦めの鎖を解いて (今すぐ)

 

車の中のスノードームが転がって
ブレーキの下に挟まった
止まれなくなった車は壁にぶつかり
フロントガラスにはひびが入った

 

何故か無傷な身体を擦って
静電気を発生させながら夜中を見上げる
月はとても綺麗に微笑んでいるから
ずっとここに居たいと思った

 

パトカーと救急車のサイレンが聞こえる
心配そうな野次馬たちがこちらを見る
はめていた腕時計を見てみると
昨日見た時と全く同じ時間を示している

 

溶け出したらあとは流れてゆく
失ったものはもう取り戻せずに
狂うのをやめた時計の針を回し
明日起きたであろう時間に合わせる