うたもち現代詩

詩を書き連ねる場所。

No.61 街路

 

長髪のスーツ姿の男が煙草をくわえて

短髪のスーツ姿の男を待ち続けている
熱いコーヒーを啜る音が喫煙室に響く
冷たいコーラを買い男が喫煙室に入る

 

二人はどういうわけか暫く会話しない
何か事情があるような顔で煙草を吸う
煙は排出装置にただただ吸い込まれて
一緒に二人の空間も吸い込まれそうだ

 

ふと短髪のスーツ姿の男が話しかける
ふと長髪のスーツ姿の男が笑っている
コーラを飲み干して伸びをしている男
コーヒーを置いて溜息を吐いている男

 

スーツに着いた埃を払い整えた二人は
喫煙室を出て路地を足早に歩いてゆく
店の看板が街に乾いた雰囲気を落とし
スーツ姿の男たちを無機質に演出する

 

道路に突然黒い車が二人の横に停車し
窓が開くと無数の棒が車から突き出る
途端に爆音が街中に鳴り響き走り去る
スーツ姿の二人は完全に無機質になる