うたもち現代詩

詩を書き連ねる場所。

No.57 見世

 

 

「酔ってらっしゃい看てらっしゃい」
龍に竹の冠を乗せた鳥のような籠の鳥
刑務所行きを待つ留置場の真ん前には
踊り狂うシルクハットの男たちがいる

 

「勝ってきままでは仕舞いには肺に」
溜まりゆく黒い胞子から出たきのこ雲
原爆水爆を見たこともない男たちには
それがたまらなく美しく見えてしまう

 

「撃ってらっしゃい射てらっしゃい」
弾でも矢でも何でも御座れの集中砲火
罵詈雑言堪え兼ね耳栓代わりに団子虫
フラッシュが焚かれて蠢きたる腹の虫

 

「収まり切らない憂い帯びる佇まい」
腐りゆく青々とした皮膚の下の気狂い
鐘の音が鳴り響く一人きりの部屋では
その気狂いどもがやけに親しい口調だ

 

「死んでらっしゃい経てらっしゃい」
殺りたいことして殺られて死して学ぶ
籠を振れば傷だらけになる鳥のように
男たちはこの振動する世界で死に急ぐ