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うたもち現代詩

詩を書き連ねる場所。

No.55 恋心

 

厭世の角度から罵倒される道のりには
数多く色とりどりの花が咲いてしまう
その花をつむ勇気すら湧かずに年老い
全てをうやむやにすべく奔走する勢い

 

やってられないことは全て後回しして
飲んだくれて管を巻くのも楽しげだが
家に帰れば一人きりの冷たい布団だけ
出迎える相手は鏡の中に住む自分だけ

 

詩は詩であり続け男は男のまま死ぬと
性転換した男に口説かれて夢に落ちた
アルコールはとても強烈に効いてくれ
彼女…いや彼…いや彼女に恋に落ちた

 

そうして男は男のまま何かを失っては
何かを取り戻しながら恋を育てあげた
ただ愛を記そうとしてもペンが曲がり
前妻を思う心が貫く胸を押さえている

 

そして彼…いや彼女の顔を忘れようと
また厭世に耽り現実から逃避してゆく
そして乖離してゆく意識と身体と布団
魂だけが心臓のように鼓動を刻むだけ