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うたもち現代詩

詩を書き連ねる場所。

No.54 万屋

 

「耳に入る言葉を口から垂れ流す奴」
陰口を言われている彼はチクリ屋さん
でも仕方ないことだろう?食べるため
人はあらゆる人を裏切るべきだからさ

 

「煙草を一つおくれ」そう呟いてみて
差し出された物に火を付け吸ってみた
やけに湿気っていてうまい煙草だった
不幸と憐れみをブレンドした葉っぱだ

 

「目が見えねえし金も数えられねえ」
気取り屋の彼とチクリ屋の彼の友達で
走り屋だった彼がこう嘆いていたとさ
そいつにうまい煙草を一本やってくれ

 

「映画の見過ぎで現実がわからない」
フィルム屋は違うフィルムを張り替え
車の窓ガラスをスクリーンにして遊び
仕上げに煙草を擦り付け客に返却する

 

「愛想の悪いウェイトレスに呆れる」
居酒屋はイザコザに巻き込まれそうで
シフト表とにらめっこし煙草をふかす
明日からまた同じ日々が始まるようだ