うたもち現代詩

詩を書き連ねる場所

No.49 男たち

 

バス停のような男が立ち尽くしたまま
時間だけを克明に覚え 繰り返し唱える
三十分に一本 巡って来る客たちを迎え
挨拶もそこそこに立ち去る彼らを送る

 

電話ボックスのような男も立ち尽くし
時代の流れに逆らうようにしながらも
寂しげに分厚い本だけを片手に持って
誰かに話しかけられるのを待っている

 

街灯のような 電柱のような男がいたが
彼は残り少ない光の中で戸惑っていて
照らされる人々は苛立ちを彼にぶつけ
唾を吐き捨てて何処かに行ってしまう

 

マンホールのような男は危険な賭けで
通りかかる人々を落とそうとしている
フェンスのような男は突風に吹かれて
凍えながらがちゃがちゃと音を立てる

 

標識のような男たちは自ら意味をなし
人々を停まらせたり 右折を禁止させる
ポストのような僕は恋の手紙を待って
口をあんぐりと開けて待ち構えている