うたもち現代詩

詩を書き連ねる場所

No.46 騒壁

 

身構えると見違える壁の中の狂気たち
隣の部屋で騒いでいる親しい囚人たち
もう番号で呼ばれることも無くなった
名前なんて不確かなものを探し回った

 

男と男はひしめき合いながら上り詰め
暴力の行方はベルゼブブの戯れる監獄
思惑は臭い飯の中に混入した剃刀など
血と汗の匂いでくらくらとする昼休憩

 

ミシンが上手なヤクザの構成員が語る
月に旅に出たウサギの童話が興味深い
浮気妻を殺した男が落書きする漫画は
少女漫画のように美しい話で興味深い

 

罪を償うという言葉に感化された若者
不気味な宗教にどっぷり浸かっている
その聖書に低俗な悪魔が描かれていて
神とされる者が不安げな眉で興味深い

 

狂気たちの笑い声が高まってうるさい
隣の囚人たちの騒ぎも聞こえなくなる
壁の色が変わり曲りくねり回り出して
一人だけ取り残される感覚が興味深い