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うたもち現代詩

詩を書き連ねる場所。

No.39 Mr.±0

ジッパーを外した時に抜け落ちた記憶
背徳感が羽を生やして飛び回る部屋に
燃え尽きた二つの塊が転がっていると
気が付いた頃には全てが真っ白になる

 

真っ白になったから塗りたくる色には
全ての欲望が剥き出しに反映されゆく
彼は筆を力強く持ち 差し出された色を
乱暴な抽象画のように描き記している

 

描き記した後に見返して後悔している
降り出す雨に怖気付いて足は重くなる
彼は独り言を呟くが雑音に掻き消され
虚ろになる頭の中をコーヒーで紛らす

 

コーヒーで紛らす時間を忙しく回して
仕事に切り替えた空気を彼は吸い込む
空気で鱈腹になった腹を抱えて苦しむ
上がり下がりを調節して丁度0にする

 

0になった彼の姿形はこの世から消え
深夜を徘徊する獣と化し人を襲い始め
狂い 血に飢えて後に引き返せなくなり
周りに誰一人居なくなるまで繰り返す