うたもち現代詩

詩を書き連ねる場所

No.16 建者

なし崩し人生の末路に辿り着いた時に
ただただうらびれた男が立ち尽くして
爆破されたビルの瓦礫がまるで親しく
愛すべき光景のような眼差しで涙する

痩せこけた頬の内側を噛み千切るよう
強く強く顎を締め上げ血の味を感じる
今にも倒れそうなふらふらの足取りは
二日間浴びるように酒を飲んだからだ

その男は鏡の中の自分を友人と信じて
語りかけるが返る言葉はいつも同じだ
「お前は俺自身だから無駄なことだ」
何故か微笑みを浮かべた男はまた歩く

誰かが作った瓦礫の前に立ち尽くすと
男は何かに気付いて懐かしく感じたが
「確か愛おしいと感じた人だった筈」
瓦礫を誰が生み出したか思い出せない

男は永遠に彷徨い続け瓦礫の前に立ち
ただ思いを馳せることしかしなかった
誰の名前も思い出すことはなかったが
自分のビルを壊すことなく男は佇んだ