うたもち現代詩

詩を書き連ねる場所

No.13 物語

風呂敷を広げた物語の結末は消極的で
男は狼になった自分を悔やみながらも
自分が守り抜いた金塊の中で事切れて
エンドロールでは複雑な気持ちになる

弾丸から始まった物語を辿って行くと
空想が削ぎ落とされた現実だけ残った
走馬灯を映し出すスクリーンは大きい
エンドロールが終わると全てが消える

全てが消えるまで男に見えていたのは
削ぎ落とされていた空想の世界だった
宇宙から来た生命体を銃で退治したり
刀を持って何十人も叩っ斬ったりする

彼にとって彼は誰よりヒーローだった
自分しかなくなった世界でそう感じた
彼の言葉は彼を突き動かし続けていた
それを知り 流れるはずのない涙を流す

空中に分解されて魂が温度に溶かされ
男はただの塊に変わって世界が終わる
現実と空想を噛み締め思想も溶け出し
広がり続け 縮み続けて 忘れられてゆく