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うたもち現代詩

詩を書き連ねる場所。

No.12 蝸牛

ラジオから流れ出る嘘八百の真実味を
耳で噛み砕いて聞いている夜中の幻よ
制御不能のボートに乗っかって湖へと
推進力は想像力だけに頼って進みゆく

水の音が 聞こえて来ると孤独を感じて
声の味が 深まると鼓膜が甘みを感じる
ドラマティックでロマンティックな夢
湖が干上がるまで味わい尽くしていた

彼はいつも 嘘を真実に変える錬金術
そのレシピを 懐に押し込め大切にする
誰かに盗られぬよう 気付かれぬように
辺りを見回して 臆病そうに震えている

彼はいつも 口をすぼめ黙って下を向く
幸せと不幸せをごちゃ混ぜに進みゆく
興味深い悪夢に 足を取られないように
辺りを見回して 助けを求め叫んでいる

のっそりと動く 湖の中心近くのボート
彼は孤独と 声が反応していると気付く
波紋が広がり 虹色のネッシーが現れる
そんな夢を そんな独白を 耳で味わった