うたもち現代詩

詩を書き連ねる場所。

過去詩 まとめ9

 ***デタラメの心***

 

・人の群 夢の数

 

人の群 夢の数
 灰色に染まる排気ガスの空気
  僕は都会に染まる そして
   あとは腐って 熟していく


ゴツゴツして 現実的で
 目の前に飛び出してくるビル群
  鼻が曲がる こんな場所では
   満足に食事も出来ない

笑う人 睨む人
 幸福も不幸も痛いほど感じる
  目線が交差し 僕をとらえる
   無感情の重なる目線

苦しくなって イヤホンから
 流れ出てくる音楽を止める
  都会のざわめきに身を任せれば
   頭に言葉があふれ出る

坂 上り坂 下り坂
 凸凹 足の裏
  ひりひりと感じる
   アスファルトの熱

照らされる 太陽によって
 哀れに晒される 恥ずかしく
  知り合いと会えば顔を隠し
   見知らぬ人とは目線を交わす

夜になれば さらに明るく
 賑やかに 恥ずかしげもなく
  憂鬱を発散するように
   人々はまた この街で踊る


仄かな期待も 優しさも
 冷たく嘲り 荒むだけ
  この街にある 冷たいそれは
   人の群 夢の数

 

・泥船

 

船に乗れ 舵を取れ
 夢は見るな 溺れるぞ
 近隣を気にし 外れるな
船に乗れ 舵を取れ

口を出せ 手は出すな
 横暴な奴に 刃向かうな
 勝てば勝ちだ 金になる
口を出せ 手は出すな

間違うな 間違いでも
 それを隠し 真実だと
 宣言したあと 放っておけ
間違うな 間違いでも

忠実に 刃向かうな
 ひれ伏し 従え
 首を出し 舌を出せ
忠実に 刃向かうな

泥船よ どこまでゆく
 そのずるい顔で どこへ
 もう膝下へ 水がくる
泥船よ どこまでゆく


・雨嫌い

 

雨音が窓越しに聞こえる
大勢の拍手のように聞こえたり
囁きに聞こえたりしてる
こんな時、一番似合いの言葉は孤独だ
水が天から降ってくる
地上の水を吸い上げて
雲にして、しかし、大きくなりすぎて
また、地上に落とされている
寂しい、夏の雨は滅入る
あんなにも晴れていた空が
灰色になって、重くなって
続いていく雨音は意味もなく
何かを伝えることもなくただ溜まっていく
水溜まりはいつしか蒸発して
また天に舞い上がっていく
回る季節と水と空とこの音色と
虚しい、孤独みたいな雨音
汚く塗られる、道路と家々
雨のにおい、苦いような
古臭い香
乾いて、太陽が天から光を当てない限り
このつまらない臭いは続く


・思い出という名の世界

 

目に映れば この景色の美しさや醜さがわかるが
夢だけになってしまっている今 それは叶わずにいる
僕の心中に広がるその抽象の世界は片隅で
どんどん崩れながら失われてゆく
後悔や願望に似た光を放って
思い出という概念の中で存在するその世界は
いろいろな景色に支配されている

幼い頃馴染んだ学校 その周りにある景色
公園 神社や寺
華やかな物はないにしても そこにあるのは
僕を作り 象り 進化させ 退化させたものだ
しかし 片隅から崩れていくとなると
その記憶すら 時すら 曖昧になって
何がなんだかわからなくなり 心は不安定を保つ
心の中の世界は海のように広がり キャパシティを持っているくせに
まっすぐにあるいていないと 脆く崩れそうになる
その海のような広さはまやかしのようで
強さなどは意味を持たない
あるのは〔知〕と〔無知〕〔古〕と〔新〕
照らし合わせるべきものがあるものと
照らし合わせるべきものがないものしかない
心の中では記憶にあることから現状の感情を割り出し
知っていることに無関心であったり 知らないことに関心したりしてる
そのパターンも種類も物事一つ取っても様々で
思い出の中にあるものは時と共に増殖したり絶滅したりして
変わり そして変わらない
そんな世界は崩れていく 時には逆らえないことを悔やみながら
時間が経過すれば いずれなくなっていく
それは 僕の存在と同じように

 

・忘却

 

見上げる天井 消えた電球
埃まみれ 光指せば
 雪のように舞う 薄暗がり
何か重要なことを忘れてる気がする
布団の中には力なくただれる身体
 追われて追われて
  時に、物に、日に、明日に、
 追われて 疲れ果てて眠る
マネキンのような記憶中の人々
 顔の形も 名前のはじめもわからない
 それは重要なことだったのだろうか…