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うたもち現代詩

詩を書き連ねる場所。

過去詩 まとめ6

 

***デタラメの心***


不眠症

 

一人の夜 悪夢も見れず
 薬に頼ることもなく
ただ 暗い天井を見上げ
 ベッドに仰向けになるだけ
ずっと昼間のようだ 永遠の日差し
 目の裏にチカチカ蛇が泳ぐ
シーツが擦れる
汗を吸い込んだ薄く白い布
 深く沈もうとすると浮き上がる
僕はなぜ眠れないのだろう
 憂鬱を通り越して
今日はもう起きることにする


・黒白灰

 

歯磨きして正装して
重いドアを開いて豪雨の街に行く
緑も青も忘れて
世界はほんとうに黒と白と灰色でしか出来てなかった
傘を忘れていったん戻ってまた出てゆく
単調すぎて重要な行為は思考から全部なくなってしまった
鉄をたたく音やアスファルトを踏みしめる雑音
耳に冷たい風と雨が吹きつけ千切れるように痛む
ストーブのない部屋に布団で包まるだけの生活で
裕福という言葉の定義を探るのすら煙たかった
黒いスーツのズボンに水がかかる
汗が染み込むときとは違う湿っぽさだ
異物を体内から取り出したがる蛙のように
僕は心から雨やにおいを消し去るように専念した
 空は重い風は煩い
 音は単純で退屈で味気ない


・酔いどれ

 

夜々 光包まれて
雪の夜は長く 寒い
月は透き通り 地面に積もる雪と
同じ様な色で もの寂しく
夜と冬の旋律を奏でる

果てしない世界へ旅立ち
こうして牢屋のようなアパートに住む
冬の風が部屋の隙間から吹くと
痛いほどに縮こまる

賑わった街の外れの店で
今日も酔いどれたちが歌う
悲しい歌を…  故郷を懐かしむ歌
そんな歌の聞こえる夜は 午前二時前
眠気は明日に置いてきたばかりだ


冷蔵庫 二本の冷えたビール
煙草は半箱 夜明までは保つだろう
懐かしき恋の歌も 青春の歌も
田舎の歌も 都会の歌も
すべて知っている 酔いどれて
口ずさむどれもが 朧気でも
胸の奥から じんじんとする
酒と歌に呑まれたら
 一人夜に 月や星らと 戯れる