うたもち現代詩

詩を書き連ねる場所

過去詩 まとめ5

***街と情景の中心***

 

・「雨の休日」

 

こんな日には部屋で死んでいるのも良いと
ベッドの中でうずくまって深いため息を吐く
外は泣いているかのような天気だ
ただ一人になったこの温もりをひたひたと感じる

感情はユラユラと揺れて船のように漂う
いつの間にか微睡みはすぐ傍に佇んでいるが
  僕はそいつと寄り添うだけで抱こうとはしなかった
時間は過ぎてゆく、忙しく回る時間と同じ速度で

猫の声が聞こえる
すぐ近くで、子猫のようだ
さっきまで死んでいるようだった体を起こし
目をつむって探ってみた
親を呼んでいるのかと思ったら
ただ単に雨に驚いていただけだった
すぐにどこかに走っていってしまい
少し見えていた影も通り過ぎた

こんな日は死んでいた方が良い
またベッドに横になり、暖かいままの布団にくるまった
ふと何か懐かしい匂いがする
それは孤独が連れてきた客人の一人だった

雨の日の匂いだ
これを嗅ぐと何故か、昔のことを思い出す
虫取りに出かけ、雨に降られたとき
海辺で大雨にあったとき
散歩の途中で雲行きが怪しくなったとき
色々な雨の日を幾つも思い出す

今日は少し優雅に決めて
全ての予定をキャンセルして
遅めに起きて朝ご飯を食べよう

トーストを焼いてマーマレードで食べた
カリッと鳴ったパンはほのかに甘く香り
柑橘の香りがあとから漂った
美味しくため息を吐きながら 甘くした紅茶を飲んだ

何故か疲れ切っている身体は重くなるばかりだけど
気持ちだけは軽やかに歌い、スキップしているみたいだ
不思議な雨の日、今日は休日
羽を広げるには狭すぎる部屋でのんびりとする


・「遠くの山」

 

 故郷の山を見るが浮き出す思い出はほんの一瞬で
僕が以前にしてきた罪とその無意味さが痛感させられた
 美しいがその街並みを見る度
胸の奥が締め付けられて息が出来なかった
 やっと自分の居場所を捜し当てても
それによって壊され 裏切られている
しかしそれも僕の罪であることは理解している
 僕はいつも恐怖の隣にいる
  孤独や忘れられることに恐怖している
きっといつしか誰もこの顔を指さなくなるが
 それは僕が死んでから少し経ったあとが良い
街を見ると痛いほど綺麗で僕は故郷が好きなんだと自覚する
しかし 僕はここが故郷である証拠を誰にも説明出来ない
 それは もう誰からも忘れかけられているから
僕の罪 それは今になって重くのし掛かってくる
 そして遅すぎる後悔を無様にこうして告白している