うたもち現代詩

詩を書き連ねる場所

過去詩 まとめ4

***街と情景の中心***

 

・「ドライブ」

 

穏やかに揺れる助手席で
うたた寝しながら車内に流れる音楽を聴く
懐かしい声はあまりにも優しくて
僕の目頭に涙があふれそうになる

故郷とは違った場所でずっと過ごして
誰も信じられなかったころ
僕が思う故郷がほんとうに故郷なのか
誰も教えてくれなかったころ

ドライブしている時は至福で
この揺られながら聴く音楽に包まれる
悲しい恋の歌にも 貧しい心の歌にも
社会への不満の歌にも 死んだ者への歌にも
 僕は、包まれる
  優しさに、目が熱くなる

この車の窓から見える景色は
何も見えないほど暗いものだけど
この音楽を聴けば怖くなかった
ヘッドライトが照らしてくれているようだった

ドライブしているときの定番は
タバコの煙とコーヒーのにおい
音楽たちはそれを引き立てず殺しもせず
ただ僕に生きている実感をくれた

そんなドライブも今じゃ
なくなっていって音楽たちも遠く褪せてるけれど
この思い出やそれを空想するこの時間があるから
僕はまたこうやって落ち着いた時を過ごせるんだ

ドライブは決まって二時間ほど続いて
涙は一生懸命我慢するけど流れて
好きな音楽が何もかも緩和させて
夢にまで出て勇気づけてくれていた
 僕は、そうして
  思い出に、ドライブする

 

・「すばらしい日」

 

充満する熱気は この部屋を取り巻いて
僕らにふっと呼びかける
高揚し ひと塊になった僕らは
意味もないことで盛り上がる

気後れすることのないように
互いを気遣うこともなく ただ楽しい時間だけが過ぎる

夢心地にいずれか終わりが来るのを感じるが
気にも留めずに 僕らは語り合う

明日の朝日が昇るころには
きっと みんなが寝静まっていることだろう
でも僕は一人だけ起きて
このすばらしい日を振返って 少し痛む胸を押さえる

またとこんな日はないだろうと
僕は手を振って別れを惜しんでいた
僕らはいつまでもこうして仲良く 心遣いなく接せられるだろうか
 あぁ、 大人になるのはいやだと心底思った