うたもち現代詩

詩を書き連ねる場所。

過去詩 まとめ1

高校の時に書いた詩をまとめます。

当時書いたままであげてみます。

米印の部分は、いわゆるチャプター名です。

 

***街と情景の中心***

 


・「今宵、風は激しく吹いて…」

 

今宵、晴れた空は 深淵の闇の中に星を散りばめていた
窓越しに見るその月や星は、何よりも自由に、そして輝いて見えた

風の音がする ふと、何かに駆られたような気持ちになる
今宵、晴れた空は、この僕を睨みつける
その、輝く星という名の目で

風の音は響く 吹き飛ばされかき消された思いは、いつまでもこの風に乗って
知らないような場所へ行き、知らないような人々へと届く

今宵、歌うのはその風の音と、寂しげな人々の暮らす雑音だけで

そんなのに巻かれたこの部屋は、誰の部屋よりも寂しくて
誰の部屋より寂しい部屋を、誰もが皆持っていて
孤独に切り裂かれそうな気持ちになる


街の音は響く このひどい風を受けながら、平気でそびえ建っている
都会は頑丈で、都会は臆病だ
人々は知らないフリのように道を歩き、風ばかり気にしている
それなのに街は賑やかと偽られ、華やかだと飾られる

孤独は何処までも付いて来るのに、都会はそれをすべて受け入れる

風に乗った思いも、人々の寂しさに似た都会は
この暗い空のように受け止めるのだ そして、ネオンという名の星を散りばめる

それはまるで、貴方のようだ
貴方のその微笑みのようだ 疲れきった笑顔のようだ

今宵、風は激しく吹いて、僕らを横切っていく
それは貴方も同じだ 横切られて、孤独の音を聞く
今宵、空は何処までも暗く、星は何よりも輝き
ネオンはいつまでも この街のどこかで夜を照らし
照らされながら都会はいつも、暗闇の中で寝静まる
そして、朝が来る
人々は孤独を忘れ…忘れるため…忘れようとして
この街を歩いていく
 また、夜の闇に飲み込まれないように
 星々の輝きに、目を奪われないように

 


・「新宿のにおい、風を受ければ」

 

新宿のにおい、風を受ければ
いつも見慣れた建物と人波
こんな街だからだろうか、歩く人々は昨日のそれとまた良く似ている
喧騒の中、車のクラクション
ブレーキ跡も消えてしまいそうにうねり曲がり入り組む道
電気屋の前では、気違いのように客寄せの声
肩が当たろうとも何も言わぬ通行人
見るだけの洋服屋に飾りだけの居酒屋、歌舞伎町
この街の溶け混みにはあと何年もかかるのだろうか

しかし気付けば、こなれたようにするすると人並みを歩く影一つ
自分は染まり、慣れていたのだろうか
この蒼く見える空を忘れて
物や理屈の造形だけに目を奪われていたのだろうか
いや、この街に完全に合っている人間など居なかった
ただ、機械に埋め込まれたように息をし、動き、働いている

新宿のにおい、それは故郷とは異なる香り
疲れた自分が憩うのはどちらのにおいなのか
受け入れず、受け入れられずにいたのに
今はもう、普通のにおい
ゴミやコンクリート、排気ガスや人々の体臭によるこのにおい
もう、自分のにおいとの区別も付かないでいる

垢抜けていくのは嘘で、人間は変わらずに
ただただそのにおいに慣れていく
そして、そのにおいのする人のことを
都会人と呼ぶだけである
新宿のにおい、それは親しい友の香
明日もまたこの道を通る
ざわめきや雑音と共にこの狭い街の一部品となって
都会人として君に会おう
いずれにしても、君の体にもそのにおいが付いている
故郷忘れなければ、いつにでもどちらにでも、化けられるんだ