うたもち現代詩

詩を書き連ねる場所。

No.63 煙たい部屋の中

世界が僕に背を向ける時も君はいつか見せたような笑顔で世界が君に背を向ける時も僕はいつも見せるような笑顔で 鉄で出来た心に鍵をかけても熱い炎で溶かしてしまえば良い鎖で繋いだ心が空へ飛んでも細く長い糸で手繰り寄せれば良い 君はいつも馬鹿にしてお…

No.62 流船

煌めく理想郷から突き出ている摩天楼儚げに光るのは一筋の涙のような流星実はそれは星の残骸に似た宇宙船だが理想郷に住む人たちは願い事を唱えた 無重力の中で掴み合う二人の男の目的それは宇宙で一番輝く鉱石と膨大な金赤と青の宇宙服は空中を泳ぎ掴み合う…

No.61 街路

長髪のスーツ姿の男が煙草をくわえて 短髪のスーツ姿の男を待ち続けている熱いコーヒーを啜る音が喫煙室に響く冷たいコーラを買い男が喫煙室に入る 二人はどういうわけか暫く会話しない何か事情があるような顔で煙草を吸う煙は排出装置にただただ吸い込まれ…

No.60 ants

渡されたバトンを次に繋げようとして逢魔が時に疾走させるバイクの爆音が鳴り響く街に彼らの味方は少なかったしかし彼らは走ることをやめなかった 喧嘩で青タン作りながら金属バットで明日をぶん殴る下らないパンク気取りしかし彼らの青春はそこに炎を感じて…

No.59 work

全てを計算し尽くして仕事をこなして早朝のブラックコーヒーを飲み干してそれから家に帰るとぐっすりと眠って二日置きに来る仕事までのんびりする リストの殆どはもう消えてしまったが男はライフルを手放すことはなかった何かを隠したいがために殺される命に…

No.58 断片集

布団には 詰まった麻薬 秘めやかにバレることなく 起きることなく 常夜灯 暗がり欲しさ 水欲しさ乾いた喉に 薄暗い糸 画面割れ 顔が二つの 著名人やけにいらつき 電源を消す 小鳥鳴く 電線の上 曇り空感電死した 幻想覗く 今月の 給料袋 破り捨て家計簿捨て…

No.57 見世

「酔ってらっしゃい看てらっしゃい」龍に竹の冠を乗せた鳥のような籠の鳥刑務所行きを待つ留置場の真ん前には踊り狂うシルクハットの男たちがいる 「勝ってきままでは仕舞いには肺に」溜まりゆく黒い胞子から出たきのこ雲原爆水爆を見たこともない男たちには…

No.56 鍛造

「おめえさんの言うこたぁちと難しい頭こねくり回さなくても良いだろう?おめえさんのためを思って刀繕ったが死に急ぐこたぁない此処で暮らせよ」 頭を丸めて何十年か経ったであろうか親父の言うことには一理あるが彼にはやらねばならない復讐が付きまとって…

No.55 恋心

厭世の角度から罵倒される道のりには数多く色とりどりの花が咲いてしまうその花をつむ勇気すら湧かずに年老い全てをうやむやにすべく奔走する勢い やってられないことは全て後回しして飲んだくれて管を巻くのも楽しげだが家に帰れば一人きりの冷たい布団だけ…

No.54 万屋

「耳に入る言葉を口から垂れ流す奴」陰口を言われている彼はチクリ屋さんでも仕方ないことだろう?食べるため人はあらゆる人を裏切るべきだからさ 「煙草を一つおくれ」そう呟いてみて差し出された物に火を付け吸ってみたやけに湿気っていてうまい煙草だった…

No.53 easy

それは数をこなせば簡単なことだろうましてや深く考える必要もないだろうアルコールに任せインクに滲ませよう暗がりに虹を描くアルカロイドのよう パーキングエリアに高級ホテルを停めカクテルをバスルームに注いでいる彼変に宗教を知ったかぶりする老いぼれ…

No.52 ミア・ウタモチ

物言わぬロボット 私の恋人だ 名前はミア・ウタモチ パルプフィクションから拝借した名前だ 彼女の外観は黒髪のショート スレンダーで統率の取れた体型 当たり前のことだが歩くのはぎこちない 人肌の感触のゴムを使っている 私はこのロボットを完成させるの…

No.51 arms

立派な角を持っているからには屈強で何にも怯えることのない男でありたいそう願う少年が発する言葉で爆発する東口から西口にまで爆風が通り抜ける 爆発したのは抑圧された精神の爆弾で人を傷付けたいと願う彼の邪な心境でそれに吹かれた大人たちは怯えている…

過去詩 まとめ15

***ガラクタの匣*** ・花の音 花の音に誘われて足取り軽く道草すれば花の音が答えてくれる“さぁさ一緒に踊りましょう” 散れば花々安らかに蝶々に吸われた蜜のあと音色は高く華やかに社交ダンスは風まかせ 花むぐりとミツバチは唄い蝶々は何処へともな…

過去詩 まとめ14

***ガラクタの匣*** ・月に煙を巻いて 煙草の灰がポトリと落ちた気づかぬ間に何かしら時は経っていたようだ灰色の壁紙に煙の膜が張っているしょぼついた目は血走って緊張しているそれをほぐしながらベッドから出る 一人の心地よさを知り孤独とはもう恋…

過去詩 まとめ13

こんな時間ですが、誰かに寄り添えるように詩を載せます。章が変わり、少しマイルドな表現になります。 ***ガラクタの匣*** ・ガラクタ 自由の人よ この世界を駆け回れ孤独の人よ その部屋を出て行け憂鬱の人よ あの広い空に叫べ 自由は手の中に 孤独…

No.50 cook

厨房には踏み潰されたゴキブリの死骸コンクリートの上にこんがりと佇んでまるで調理する料理人たちを睨み付け踏み潰そうと企んでいるように見える 暗い話題から明るい話題までこなして何でもござれのトーク展開を繰り広げ料理が冷めても止むことなく喋り続け…

No.49 男たち

バス停のような男が立ち尽くしたまま時間だけを克明に覚え 繰り返し唱える三十分に一本 巡って来る客たちを迎え挨拶もそこそこに立ち去る彼らを送る 電話ボックスのような男も立ち尽くし時代の流れに逆らうようにしながらも寂しげに分厚い本だけを片手に持っ…

No.48 8bit

8ビットはくわえ煙草でスラムを歩くデタラメな話に組み込まれたシステム金を数えるためだけに生えて来た手にピストルはあまりにも重すぎて悲しい 泣き崩れ目の前に跪く男を撃った話を声高らかに話す酒屋の若いチンピラに8ビットは愛想笑いをしているだけだ…

No.47 boys

カタルシスの海に溺れて中毒者のよう痛みを受け入れると彼らは調子に乗る死神に似た純白の顔の教師と女生徒は下手に動くと首元を搔き切る鎌を持つ 臓物がぐねぐねと語り合うような感覚鬱屈とした放課後に新品の漫画を添え部活動で拗らせた夢物語を読み漁ると…

No.46 騒壁

身構えると見違える壁の中の狂気たち隣の部屋で騒いでいる親しい囚人たちもう番号で呼ばれることも無くなった名前なんて不確かなものを探し回った 男と男はひしめき合いながら上り詰め暴力の行方はベルゼブブの戯れる監獄思惑は臭い飯の中に混入した剃刀など…

No.45 letter

マッシュルームヘアを切り落としてさメンヘラ共の悲鳴を聞いて涙を流そう死ぬ死ね死んで死にたい死んで欲しいそんな言葉を使わないで殺してみよう ホロリと泣かす薄い芸術に乾杯しようカフェアートと空に自分を投影しよう森に行けば森の生き物に変わり果てて…

No.44 jam

エゼとジルベルトよ!もっと虐めろ! 太陽のように熱い眼差しを軽蔑に変えシャルモン・リュミエールを殺すのだカナぺはいつも見張っているだけだ! マドモアゼル!オードウィーを持ってトルシュに吹きかけくたばっちまえ!ヴェスタルはカジノですったばかり…

No.43 傷物

過去の一度の失敗に足を取られ動けず時間という歯車に任せ進んでゆくだけあれから一歩も自分で歩いた事はない傷物の商品を誰が手に取るというのか 自堕落な男の下らない出来事の数々に口を出す気も無く抱かれるだけ抱かれ帰って行く女たちの閉めたドアを見る…

No.42 短編『ロボットの玩具』

私は子供の腕に抱かれ、冷たくかたい皮と温かくやわらかい皮が触れ合うのを感じた。私は動けない体なのに、この子は活発に動いて私を抱えて連れ回す。返事ができないことを知っているはずなのに、その幼い瞳で私を見つめ語りかける。この子は本当に楽しそう…

自動記述日記2(何年か前に書いたもの)

先生が僕を見ている。授業が始まったらしい。数学はあまり好きじゃないけれど暇潰しにはちょうど良い。ノートに数字を沢山書いていると自分の中の世界に潜り込んで行ける。7と8の間に人間の足を見つけた。×と÷に神秘的な魅力を感じた。5と6の間に人間の…

No.41 短編『ミルフとミリー』

今回は趣向を変えて、凄く昔に書いた短編を載せます。小説を断念した理由がよくわかると思います。 花のつぼみのような小さい宇宙船。そこに、幼い兄妹が乗っている。兄はミルフ、妹はミリー。山積みになった児童小説や絵本に囲まれて、今日も星の海の中を過…

No.40 〈生きる〉

高校の卒業文集にて、谷川俊太郎の「生きる」を自分なりにアレンジしてみるというお題で書いた詩です。 〈生きる〉 空を見上げれば鳥が飛ぶ 海を見つめれば魚が泳ぐ 今あるそれだけで証明される 花が咲く 風が吹く 葉が揺れる そのこと自体が生きること 自分…

No.39 Mr.±0

ジッパーを外した時に抜け落ちた記憶背徳感が羽を生やして飛び回る部屋に燃え尽きた二つの塊が転がっていると気が付いた頃には全てが真っ白になる 真っ白になったから塗りたくる色には全ての欲望が剥き出しに反映されゆく彼は筆を力強く持ち 差し出された色…

No.38 話

一つのバスタオルを 二人で使おうとすれば バスタオルは後から出た奴に 冷たい態度を取るだろう 二つのバスタオルを 一人で使おうとすれば 右半身と左半身が 別人になった気分だろう 何の話かって? 無駄な話がしたいだけだ 僕はバスタオルを使って 話を作っ…

No.37 不明な行方

喋り続けて 拘り続けた 思想の裏を また見返す 理解などは 求めないが 束縛なんか 勘弁しろよ お前に似た 女を数えて アルバムに 詰め込むか お前に似た 男を揃えて 片っ端から 切り刻むか 気に入らず 目に入った 緩やかには 済む事なく 矛先は何へ 向くのか…

No.36 「同志たちに告ぐ」

無様に足掻け 無様に苦しめ 沈む時はいつでも同じ場所で同じ速度で 同じ深さまで沈め 我々は何を倒そうとしているのか何を成し遂げようとしているのかそれがわからないのならそれがわかるまで戦い続けよ その足掻いた末 苦しんだ末に何が待ち受けていようと…

No.35 昔話

昔々ある所にある男がいたんだそうだこの男はぐうたらで常に怒られていた半日以上空想ばかりして過ごしていて皆からバカにされて四十の年月育った 鼠が一匹いると百の物語を作り出して蟻が千匹いると万の物語を作り出したその何百万とも言える物語をまとめた…

No.34 歌詞4"花灯"

顔を赤らめた星たちの 夕焼けに早すぎた月が歌うのをためらって 紙一重の過去諦めた 未来たち振り返るだけで許される 君の嘘 地味な格好で派手に彩る 狂った夜を素晴らしいほどに燃えて散っては また咲いた花 顔を奪われた星たちが 迫り来る早すぎた足が走る…

No.33 報復

苦しむ顔が好きなFはNに接する時にサディスト気取りをしているけれども見抜いているのはNの方だったために警官に撃たれたのはFの方だけだった 例えば麻薬塗れの書斎の中 粉塵爆発し二人が燃え盛る炎になってゆけたなら(映画の最後のような最期を飾れた…

No.32 気取った二人

昨日までの言葉も全て嘘に変えてしまうハードボイルドを気取ったわがままな女の戯言に 付き合わされて 今夜何もせずに待つのは幾ら何でも 無駄な時間で頭が痛んでしょうがない だからと言ってしたいこともないからただただ眠るまで布団に潜り込んでいる 真っ…

No.31 歌詞3 "二羽鳥"

肺に灰 宵に酔い 心儚く忘れがたい あの子の頬 なぞる仕草 愛に会い 恋に来い 心触れ合う忘れがたい あの場所へと 飛んで行くよ 翼 ポキリと折れ俺は 難しい顔 フラフラしながらユラユラしたいよスレスレになってクラクラしたいよ 春に貼る 夜に寄る 心彩る…

No.30 歌詞2 "repeat"

傷を 開いて溢れる血が 止まらないそんな 言葉を君の口が 吐き出すよ 何も 変わらず愛している 私だけそんな 気持ちもうつろうなら 死んでゆく 何度も 何度も伝えて来たことさえも潰れて 壊れて何もなくなってしまうなら 何度も 何度も同じことを繰り返し潰…

No.29 歌詞1 "街灯"

https://m.youtube.com/watch?feature=youtu.be&v=vv55LEOOlGM ツイッターのフォロワーさん(PO(n)K2)にあてて書いた歌詞をアレンジして貰い、曲をつけて貰いました。まだ製作途中ですが、とても良い感じになりました。 作詞→詩餅作曲→PO(n)K2 冬の街灯の冷た…

過去詩 まとめ12

***気狂う宴*** ・ジャンキー 粉を吸う 注射を打つまた あの世界へ行こう行コウ飛んでいるように歩イテとってもトッテモ 遠くの近くに行コウ この世界を縫っテビルや家はマーブルの壁ピンクやブルーで チカチカする街ですれ違う人タチはこっちを見るな…

過去詩 まとめ11

***気狂う宴*** ・冷蔵庫 ちゃんと保存したいものはこの中に入れてこの手や足もこの中に入れましょう 私の気に入ったものはこの中に入れましょうカレーの残り貴方が作った肉じゃが 憂鬱に開かれた目をこの中に入れましょうその聞こえの悪い耳もいけな…

No.28 無駄な回顧

換気扇の轟音が鳴り響いた隣の部屋の温度は急降下し僕達のいる部屋は暖かくてそれを隔てる扉は戸惑った 僕の話を聞く健気な瞳の君食べ終わった皿も片付けず僕は僕の話をし続けている君は相槌で思い出に答える 僕の思い出は脚色されては削ぎ落とされて完成さ…

No.27 犬の絵

傾いた紫の犬の絵 赤い身体にオレンジの頭を携えた犬の絵 白い本棚の横にかけられたその二枚の絵 ベッドから眺めると嫌でも目に入る 話し始めると長い話を これから噛み砕いて説明しよう "人は信用出来ないから犬を描いた" まぁ これだけで伝わる話だ 犬を描…

No.26 シャグ (デイ&ナイト)

どうしようもない衝動を止めるには どうしようもないことを考える どうしようかと考えていると どうしようもなく絡め合ってしまう どうしたものかと尋ねても 誰にも答えられるはずもなく 二人は変わり者の演技をしているのか 本当に変わっているのかわからな…

No.25 愛の色 愛の形

満ち足りた朝に何故涙が出るのだろうか朝日は登り 当たり前にカーテンの外は明るくなる 愛はどういう色をしているのか?愛はどういう形をしているのか?それを僕は随分と前から考えていた今はまだそれが分からずにいる 愛と藍 同じ音だけれど藍色の愛は少し…

No.24 虚言癖と妖精たち

常夜灯にしたまま 夜を生きることに慣れると 全てのものに薄暗いオレンジのフィルターがかかってしまうと精神科の医師が言っていたよ それは嘘だ? 君は精神科など行った事ないじゃないかって? それはそうだ あぁ 精神科の医師ってのはティンカーベルのよう…

No.23 廃校の記憶

古い階段を上がると軋む音で少し怖くなる廃墟になった学校の教室に忘れていたノートの切れ端 一歩一歩 歩くたびに此処で過ごした瞬間の一つ一つが鮮明になって全てを思い出す 半透明の手でチョークを握り埃だらけの黒板に描く僕自身の顔が思い出せないから君…

No.22 何から話そうか

何から話そうか 君は美しい いやそれだけではない 君は悲しい 何から話そうか 君は強くて脆い 矛盾はどうってことない 君は暖かくて冷たい 何から話そうか 君のことを愛している いつでもどこでも 君を強く思っている 何から話そうか 君にも僕を愛して貰いた…

No.21 想起

言い残すことはないか? そんなものはない 俺は俺のまま死ぬだけだ 家族がいるだろう そんなものはいない 俺は俺だけで生きてきた すみません これ落としましたか? あぁ ごめんなさい ぼうっとしてしまった いえいえ そういえばどこかでお会いしたことが な…

No.20 僕にはわからない不安

持ち物は各自必要なものだけ 取り留めのない病は隠しておくこと 人格破綻を理由に脱落してはならない 苦し紛れに人を苦しめるのなら苦しめ 自ら命を絶った少女は 僕の肩に膝を置いて遠くを見ようとする 父親に殺された少年は 僕の膝に肩を置いて安らかに眠っ…