うたもち現代詩

詩を書き連ねる場所

No.286 首の痣

窮屈では無いはずなのに 息苦しい部屋 少し外を歩く 彼は良くなった気がした 何が良くなったのかは わからなかった 相変わらず喉には 鉄球が詰まっていた 疑え疑え 死ぬほど酷く赤くなった辱め あいつらはまた 絞首台へと誘っている 貫け貫け 死ぬほど痛い丸…

No.285 誰か

(二日酔いのような体調で目覚めた 酒なんて一滴も飲んでいなかった 彼は遠くの街で実家の仕事を継いだ 私は私で何かを始めようとしている 先月は7日間を1000円で過ごした パンの耳に砂糖をかけて食べた 穴の空いた障子から見える景色が やけに浮かれて…

No.284 要らない物

飾ってあった土産物を捨てている時に 彼は鼻歌を歌う 楽しげに ハワイで買ってきた友人は もういない 少なくとも彼にとっては サーフィンをしている少女は笑っている 腐ってきたバナナの皮の上で 友人の笑い顔すら 思い出せないので 何も感じずに 彼は袋を縛…

No.283 独

古びた街並みが 通り過ぎる男を眺めていた 彼は見向きもしない 夢に出てきそうな 奇抜な喫茶店も 現代美術を飾る ギャラリーでさえも 彼の目には止まらない アスファルトばかり見つめている 彼は 呟いていた 聞き寄れない声で何かを 二駅ほど 歩いている間 …

No.282 一雫

人との関わり合いを避けるあまり 孤独を愛してしまった男がいた 彼は誰よりも乾いた息を吐いて その息をも白くする季節を嫌った 一年という時間は短く 季節というものは儚く 巡り来る苦しみの中で 一雫でも何かを垂らせたのなら 涙は渇く 出来事は全て置き去…

気まま日記 2/25

映画館に行って映画を見たい。 新感染はNetflixで楽しく見たが、やっぱり映画館に行きたい。 今日は録画していたドキュメンタリーを見て、化学物質過敏症を初めて知った。 微量な化学物質にも反応して、症状が出てしまう病気だ。 頭痛、吐き気、目が腫れる、…

No.281 少年と磁石

反発する磁石を 少年は親指と人差し指で摘む 力をどれだけ入れたとしても 弾けて裏返るのが結末だ 少年は 友達が少なかった 親友などには 夢でさえ会えない 友達という言葉に嫌気が差すほど 話をするのも 聞くのも 苦手だった そんな少年は 家に帰って 磁石…

No.280 煙管貝(キセルガイ)

駅構内のアナウンスを聞きながら 自動的に流れていく時間を数えている 何かをしなければならないのだが 何もする気が起きず ベンチにくっ付く 煙草が吸いたくて 一旦改札を出る 目の前を右足を引きずった男が通る 珈琲を買う 喫煙所に着く 箱を取り出し煙草…

No.279 でんでんむし

味が無くなるまで噛み続けたガムのような思いが 彼の頭の中でべっとりと張り付いた 薄くなりかけた時に捨てておけば良かったなどと 後悔すら馬鹿らしい気分で歩いた 彼は誰よりも早く歩きたかったが 右足が鈍く 人々に追い抜かれた 追い抜く人々は迷惑そうに…

昨日の続きですが。

こんなものも作ってみました。 日々精進です。 http://hiro0880.html.xdomain.jp/tategaki.html

お知らせ

http://hiro0880.html.xdomain.jp かなり簡易的ですが、ポートフォリオサイトを作ったので、遊びに来てください☺

No.278

運を信じない 不運を信じる男が 幸せを感じるには 不幸せになるしか無かった DVDのパッケージの向こうから おどけた顔でコメディアンが挨拶をする それを棚に戻して 遠くを目指し 手にしたのはスプラッター映画だった こっちの方が笑える 笑えない方が笑える…

No.277 pudding

カラメルの海で 蕩けそうな微熱で 匂いを確かめ 海底を蹴った 波打つ底は すぐにえぐれそうだ ボートがあったら 掬って遊ぼう 「見つからないように 落とされないように 流されないように 必要以上 沈まないように」 空を眺めてれば良い カラメルを飲み込ん…

お知らせ

今日、Twitterのアカウントを削除致しました。 理由は、相互フォローでない人と言い争いになってしまったことと、それについて謝罪などをしないことについて、失礼だとフォロワーさんに言われたからです。 そんなにめんどくさい場所なら、離れたいと思いまし…

No.276 白い液体

くだらないことばかり考えていた 世の中の片隅で歩きながら ビルはそっくりそのまま 夜に返された 裏側を見るには 登るしかない 月が見えない夜は 雲をしっかりと眺めて 不穏な気持ちになれたら 明日はきっと晴れるだろう 瞳を閉じても蠢く虫は 敵ではないと…

No.275 旅人

旅に疲れた旅人は 足を止めて 少し考えた 彼の故郷は遥か遠く 帰るためには金が足りない 元はボーリング場で 今は朽ち果てた所 そこに彼は横たわった ボールを眺めながら 嘘に決まっていた旅への幻想は 金と共に散った 他に何もない 汗ばんだ首を 落ちていた…

No.274 雪道

凍てつく空気が突き刺さる 感覚は遠ざかり 意識は冴える 指は真っ赤になって傘を掴む 降り積もる雪がさらさらと落ちる 何時間そうしていただろうか 寒さを紛らわすために酒を飲みながら 相手を待ち続けている ライターの炎で雪を燃やしたいと思いながら しば…

No.273

小さな部屋で孤独に耐える時 私は埋葬される光景を思い浮かべる 土が雪崩込み 棺が音を立てる 光は遮られ 途方もない闇と静寂が広がる 推進力をなくして座礁したボート 波がそこへ運ばなければ何処へでも行けただろうか 何処へ行きたいか空想を描ければ良い…

No.272

帰り道 二度も車に轢かれそうになった それは偶発的なものじゃない 明らかに意図的に突っ込んで来た その前を歩くのは緊張感があった どうしてだろうとは思わない 理由はいくらでもあるのだろう こんな時間だ 早く帰りたかったのかも知れない あるいは 土地…

No.271 暗黙

部屋に転がっていた牛乳パックの中で 得体の知れないものに変わったそれが 異臭を放っているように 変わらずにそこにある頑なな暗黙 語らずとも伝わることも 語らなくては伝わらないことも さして重要じゃない 過ぎれば終わる 誰がどう考えていたって関係は…

No.270

お前に何が出来る そう自分に問われたとしたら 何を答えられるだろうか 何も思い浮かばない 私は出来る限りのことをしたが どうにもならなかった 彼らも彼女らも もういない たった一人きり そう感じる 美しいものを見たら 美しいと言えば良かった 楽しい時…

No.269 輪ゴム

スプーンで掬った砂糖を計る 一口入れれば瞬く間に別世界へ 眼鏡が曲がってしまっても 目の前は良く見える 3キロ先は闇だ 蛍光灯に照らされた後頭部に 輪ゴムで狙いを定めている 人差し指と親指から離れれば 全速力で飛んでゆく どうしようもない 何でも聞…

No.268 気まぐれ

深い意味なんて何もない ただの気まぐれだった 私は小銭を入れた 口を大きくされた空き缶に 他の誰かの気まぐれが 私の気まぐれで音を立てた 彼は私より若かっただろうか 髭は伸び 所々破けた服を着ていた ダンボールは悪臭とともに立てられていた 彼はコン…

No.267 解

私はほつれた糸だけを取るつもりだった だがスーツはいつまでも吐き出した 眺めていると止められなくなって やがて小さな穴が空いた 革の鞄の中には重要な書類が入っていた それをゴミ箱に放り込むと ポケットの財布を出して手に持ち 安い服屋へと入っていっ…

No.266 大きな犬

犬になりたい 人を噛み殺せるほど大きな そうしたら麻酔銃でやられるのだろうか 大きな手術をしたことはなく 経験がない 無理やり睡魔に引き込まれる眠りに憧れる 私の知っている睡魔はいつも乾いている 質の悪い 浅い眠りにしか誘わない きっと彼(あるいは…

No265

彼は私に新車を見せびらかしに来た 車については詳しくない 興味もない だが彼は車についてあらゆる方法でまくし立てる 仕舞いには 私は無能だと言っていた そして 私たちは車に乗って煙草を吸った 新車の独特なにおいと混ざり合って 毒物のようなにおいにな…

No.264

避ければ良い 滅茶苦茶な頭の中を覗かれる前に 殴られても蹴られても 何も言わないような群れだ 逃げれば良い 無茶苦茶な生活を咎められる前に 罵られても虐げられても 何も言えないような群れだ 都会へと通じる一本の線がある その線を辿れば気分が解ける気…

No.263 夜の街

忙しなく動き続ける 無神経な奴らの間を すり抜けるには こちらもそうするしかない 張った目玉 PCを見すぎた テニスボールを二個つけているようだ 私はガムを取り出し口に入れた 硬質な味 ミントは冷静さを分けてくれる 無神経な奴らは盲目だ 身体がぶつかっ…

No.262 喉仏

停止した立川行に乗ると 首を真上に傾けた女が対面に座っていた 乗客は少ない 端の方の座席 彼女の喉仏が話しかけてきた 「今日はどこへ行くの?」 後ろの夕陽が美しい 脂汗を照らす 「どこへも 用もなく彷徨う」 喉仏は高らかに笑った 客の扱いに慣れた商売…

No.261 洗い過ぎた服

こびり付いた汚れを洗うために 冷たい水に手を浸すような 意味の無い行為に酔いしれている 私は彼を「苦労人」とは呼ばない 恥ずかしそうに こっちを向いて笑う 彼はいつも私の言葉を聞いている 聞くだけ聞いて 自分の事は話さない 私の弱みを握り 誰かに話…