うたもち現代詩

詩を書き連ねる場所

No.204 お題「愛は、時として刃物だ。」

愛は、時として刃物だ。 真実は、いつも残酷なものだ。 分かり合えないと誓いも揺らいで、 寂しさに隠れたくなり、心を閉ざしたくなる。 そして考える。僕らは何を求めているのだろう、と。 明日の朝目覚めて、愛する者が隣にいると、 何故言い切れるだろう…

No.203 2018.05.16

頭を上手く開いて 中を歯ブラシと洗剤で磨きたい 脳がナイロンのセーターを着ているみたいだ 昨日見た映画の登場人物が夢に出て来た 僕らは四人兄弟で 偽りの家族を演じていたみたいだ 両親の浮気 兄と弟の口論 そして粉まみれの殺人 何もかもが記号的なもの…

No.202 男

人通りの多い昼の街に 人見知りの男は歩いていた 心が奪われた昨日の夢の中に 車輪に擦れた一昨日の女が出てきた 百円で買った飴玉を舐めながら 笑いかけた女を映し出す星は 太陽に照らされて消えてしまった 男は気分が晴れるような気がした 要領の良さが 毛…

No.201 女

人のいない夜の街に 人影を探して女は歩いていた 心が奪われそうになった午前は 車輪に擦れた午後に殺された 百円で買えた時計を合わせて 笑いかけた男を映し出す星は 月に飲まれて消えてしまった 女は吐きそうになって座った 遣る瀬無さが 恥じらいが 一緒…

No.200 兄弟

焼き過ぎたパンにバターを塗って 頭がおかしいほどジャムを塗って 朝っぱらから音楽かけて 昼までかけっぱなしで 外まで聞こえるナルシズム 彼は嫌われ者 行き過ぎた言動をパターで打って 小さな穴に入ってジャブを打って 朝っぱらから罵詈雑言で 昼まで怒り…

No.199 どうせ

どうせ儚いものならば いっそこのまま消えてゆけ どうせ拙いだけならば いっそこのまま幼子のように 軽い気持ちも 重い気持ちも 風船と岩石の 間の気持ちも 楽しい時も 苦しい時も 浮いて沈んで 物語る時も 前向きも 後ろ向きも 上向きも 下向きも 右分けも …

No.198 誰かの愛

誰が誰を好むのかなど 誰も気にすることはない 何が何を望むのかなど 何も気にすることはない 彼は彼を受け入れるか 彼女が彼女を突き放すか 彼が彼女と手を組むか 彼女が彼を手放すか そんなことなどちっぽけ過ぎて 何の役にも立ちはしない そんなことなど…

No.197 砂の愛

青い空の下でアスファルトは輝く 雨上がりの朝は 冷たい風が吹く あなたの微笑みで 太陽は乾かす あなたの温もりで 太陽は息する 何年か前に 友人に言われた 「やまない雨はない」定型文のようなもの 答えた言葉は覚えていない 信じられなかったことは思い出…

No.196 ただ ただ 巡る日々

都会が瞳を閉じている 閉じ込められているのはこちら側 田舎が瞳を閉じている 閉め切られてしまえばこちら側 摩天楼も 大きな木々も さほど魅力になりはしない 窓から見えるオフィス 季節を感じる森 さほど興味になりはしない ただ ただ 巡り 老いてゆく 同…

No.195 ひと夜

ひと夜 一人きりの雨に 濡れたガラスの破片が散る 石を投げたあいつのことを 忘れようにも風が吹く 穴の空いた心 貧しく光る 夢見心地の時は 静かに沈む 暖かな感情はマンモスのように 氷漬けにされて眠りに就く 「触れた指も 唇も あいつのために用意したわ…

No.194 個

限りのないものがあるとすれば それに似たものは宇宙となるのだろうか それよりもある男は 一本の煙草を吸った時に見える 絶望的な未来予想図の方が 限りないものに思えた 喫煙所に群がる人々の 気の抜けた目を見ていると 彼はその目に煙草の火を押し付け 立…

No.193 途

路上に座る男が意味のない言葉を並べ立てていた それを隣に座ってメモを取った 「アルコール アンコール アンコールワット アルコールワット…」 ボールペンを止めると 彼はこっちを向いていた 立ち上がり逃げようとすると彼も立ち上がり 何処か目的があるよ…

No.192 溺れた男

明日までの切符を買う 行き先を特定されてはならない 男はスーツで身を固める 満員電車の中 彼は 不特定多数と共にある ゆりかごで眠る赤ん坊を眺め 家に置いてきた財産を数える 張り巡らされた広告を眺め 家に置いてきた支払いを数える 特別なことなど何も…

No.191 悪る道

陽の光を遮断しておいた部屋の中 肌寒い空気に充満している埃 誰も会う人などなく突っ立ったままで 数を数える 一 二 三 四 … 車のキーを無くした 元から車など持っていなかった 充電器を刺し忘れた 元から充電をするものがなかった 銃声が聞こえる 銃など持…

No.190 サイレン

涙を啜る音でサイレンの音を掻き消す ひび割れた硝子の向こうで子供が遊んでいる 蛍光灯が死んでいる時は外も明るい カーテンを閉めれば気になるものはない シフトを書き込んだノートを眺めながら 黄ばんできた壁に もっと煙を吐き捨てて 啜った涙を洗面器に…

No.189 皮

人と人とを結ぶものがあるとすれば それが言葉であることは明白だ だから準備をしなければならない 継ぎ接ぎだらけでも まともに見えるように 君は身の丈にあった服を着る はい と いいえ はポケットにしまっておけ そして何より重要なのが その服が受け入れ…

No.188 センチメンタル

空になったペットボトルを潰そう 台所に積まれて 悲しそうだから 白紙に戻せないノートを千切って 懐かしい詩と 一緒に捨てよう 変わりゆく全てに思いを馳せるより 変わらないものの方が心地良いのは きっと 忘れるために思い出して 思い出すたびに忘れよう…

No.187 霧の晴れた街

霧の中に立つ男 瞳の中に秘めた想い 煩わしいものから解き放たれた さて 目指すは霧の晴れた街 夢見心地の女が言った 「私と踊って騒ぎましょう」 男は黙って歩いて行った 「黙りこくって気味が悪い」 キーが刺さったままの車の方へ こつり こつり と近付い…

No.186 飛ぶ脳みそ

急ぎ足で何処へ行く 脳みそが 音速で 何処かへ びゅう と 足元確かめて 手元も確かめて つりそうになったから ひたすら伸ばす 急ぎ足で出て行った あいつが 光速を 超えたら びゅん と 足元硬くして 手元も硬くして つりそうになっても ひたすら耐える 帰り…

No.185 青梅線

青梅駅はいつものように殺戮の嵐 東青梅駅は悲しい雨が降っている 河辺駅は草臥れ老夫婦が手を繋ぐ 小作駅は金無しが金を探している 羽村駅は靴を磨く少年の霊が居る 福生駅は難しい顔の青年が首吊る 牛浜駅は切り刻まれた本のページ 拝島駅は陰ある背中を晒…

No.184 器用不器用

人を真っ二つに割ったとしたら 右に落ちるか左に落ちるか 横に切ったら 上か下かだ どちらにしても まだまだ切れる 器用な人間を 不器用さが笑う 不器用な人間を 器用さがあしらう 器用/不器用 その切り口に 一輪の花を咲かせてみせよう 電車の中で 押し合い…

No.183 コミック愛憎家

吹き出しに書き込んでいた文字を消して 加えて効果音も搔き消したんだ 更には 吹き出る 怒りに 任せて オリジナルをホワイトでぼやかす 狂った世界のように見えた 映った景色が全てに思えた ありふれた嘘を並べ立てても 愛も友情も全て消せるんだ 美しいだろ…

No.182 夢追い人

初めての春が訪れた 生まれ変わる時は訪れた 話をしよう 誰とでも良い 僕は誰か あなたは誰か オレンジの線の 電車の近付く音が 馴染みの駅で鳴り止んだから ボタンを押して乗り込んだ 重たい鞄 引きずって 降ろして 前しか見えない 前しか見ない そうなれた…

No.181 bets

ランドセル背負った兎が臆病そうに犬に追っかけられたそれを見て 富裕層の猫は金を賭けた食われりゃ終わり それっきり キンコンカン 鐘の音がして金を賭けた猫たちはそれを仕舞って自分の教室へと 急いで駆けたランドセル背負った兎と臆病そうな犬は とぼと…

No.180 草臥れた暇人

考え過ぎて頭の中が地獄のように燃えたぎる時氷山の中 或いはかき氷の中を掻き分けてみるしかし 頭の中は相変わらずマグマが渦巻いているいくつもの試練 思い 記憶 そして月々の支払い… さて 夕暮れ時も終わってしまった今日という日にさようならを言うのも…

No.179 歪めいた形

感傷的なあなたと 不感症気味なわたしに 一輪華を添えて あの人笑顔で 手を振っていたの 夢みたいなイルミネーション 狂ったように見えるでしょう? 悲しいことなんて何もない わたしは言い聞かせた あなたに ブラックコーヒーと タバコの香りで 涙がいっぱ…

No.178 海底の泥船

見覚えのある社内の風景とは少し違って見えたがその時の私は 馴染み深いあの場所だと思った 社員は新しいのも増えて 私が座っていた椅子は二つに増えていた見たことのある人もいたが 中には見たことのない人もいた 最低賃金のギリギリの海底を進む小さな船の…

No.177 社員

押し込んだ憂鬱を 溜め込んだ苛立ちを 二言目にその添えそうになる 後はつまんで食べてくれ 工場の隙間から 見えている景色には 灰色の膜が張り 火種になりそうなダンボール だだっ広い駐車場 真っ白なシフト表 誰も居ない 居た形跡もない ルールの中 ループ…

No.176 旅

旅をしよう 何処に行こう? 服を着よう 何を着よう? 覚めた朝 冷めた風 良い加減 飽きた街 見慣れてた 景色から 変わるには 三時間 旅をしよう 此処に行こう 夢を見よう 追いかけよう 春の言葉 尋ねたら おばさんは こう言った 「花言葉 精神美」 難しい わ…

No.175 喪失

ぶっ倒れそうな身体をベンチに座らせたこの公園には煙草の吸殻が多過ぎた捨ててあった空き缶を灰皿にして眩しい太陽から逃げるように日陰 そう はぐれてしまったのだ勤め先には 訳あって行かなくなったそれから身体は日を数えるごとに重くなるしこのままでは…