うたもち現代詩

詩を書き連ねる場所

No.78 悪友

 

くわえ煙草が似合う気障な男は言った
「悲しいことは全て忘れてしまえ」と
愛想つかして出て行ったあの子にすら
未練は無いようで気ままな一人暮らし

 

くわえ煙草の煙が目にしみた男の口癖
「怪しい奴らに全てを奪われたのさ」
愛されもせずに男は裏路地で午前三時
未練のありそうな顔で一人野垂れ死に

 

二人は友人同士 悪いことも良いことも
幼い頃から同じ場所で同じことをした
慰め合うのはしみったれていると信じ
虚勢を張り続けて最後まで本音を隠し

 

くわえ煙草の一人が死ねば気障な男は
ありふれた女とありふれた婚約をして
身を固めてひっそりと暮らそうとした
世の中に蔓延る乾いた空気から逃げて

 

そんな矢先に男はある事情で殺された
事情を知るもう一人のくわえ煙草すら
この世にはいない 涙を流す女だけ残り
その涙も乾く頃には全て忘れ去られた

 

 

きまま日記 3/18

 

久しぶりに日記でも書いてみようと思う。

クリスマスから書いていないので、きままにもほどがある。

 

僕の周りの環境はとても変わった。2月から働き始めた「鍋レストラン(居酒屋と言うと怒られるらしい)」も1ヶ月働いていることになる。

そして一番変わったのは、「生活の充実感」だろう。3ヶ月交際している恋人との生活に慣れて喧嘩もなくなり、収入面でも楽になり、心穏やかに過ごしている。

一番には仕事をしている時の楽しさと過酷さと、達成感が大きいと思う。なあなあになっていた料亭での仕事よりも、切磋琢磨出来ている気がする。

 

ただ思うのが、僕は人付き合いが苦手であるのに、強制的に「しろ」と言われるのは、社員だからといって素直に「はい」とは言えないこと。

人付き合いが苦手なだけであって、僕は比較的に社交的だとは思う。ただ必要以上に話したくないし、僕は僕と趣味が合うやつと笑って生きていきたい人間なので、仕方ないとはいえ「人付き合いを強制させられる」のは如何なものかと首をかしげる毎日である。

 

暗い話に傾きそうなので、幸せな話を。

僕と彼女は性格が合うため、お金を使うことがなく(と言うより、使い道を知らない)、たまに休みがあっても映画を観に行くくらいしかすることがない。

ただ、ツイッターもフォローしてくれている方は知っているだろうが、僕は暇さえあれば映画を観る「自称映画好き」なので、それがとても贅沢なことなのだ。

 

確か、初めて一緒に見にいったのが「ドントブリーズ」。サム・ライミが監督と思っていたけど、フェデアルバレスという人が監督だったらしい。通りで「スペル」と比べると良い意味でも悪い意味でも「かゆいところに手が届かない(良い意味では、バカさ加減とか面白がれるところ。悪い意味では、「それってあり?」的な展開」)」と思った。

面白かったけど、つっこんだらキリがないというか。彼女は「すごく楽しかった」と言ってくれたので良いのだけど、僕は最後、アイツは生きてて良いけど、アイツは死んで欲しかった…(あぁ、ネタバレなんて概念がなければ良いのに…)

 

次は僕のお気に入り、「この世界の片隅に」。

彼女を無理に誘って見に言った。彼女は初見、僕は2回目。

能年玲奈ちゃん効果か、彼女が途中で眠ってしまったので「なんか凄く悲しい映画だった」という印象だけが残ってしまわれたご様子。こら、映画館で寝んな!(笑)

 

その次が「ラ・ラ・ランド」!!!

前作のセッションが好きだったので超期待で観に行ったが、期待を超える作品だった。

まず言っておきたいのは、この作品ほど「観る人によって違う感想を持つだろうな」と思う作品は、僕の観た限りないなということ。

僕が熱烈にこの映画のファンになったから、或いはアカデミーで賞を総ナメしたからと言って、万人が納得する作品ではないって思った。

何故かといえば、僕の中での「夢」「現実」「恋」「愛」「大切なのは何?愛することと生きるためにすることの区別迷った(by尾崎)」そして「破局」「後悔」、そのものがこの映画にぎゅっと詰まっていて、心を鷲掴みにしてしまったからだ。

僕が思っているより普遍的に愛されるのかもしれないが、僕ほどこの映画に傾倒してしまう人は少ないと思う。僕はこの映画を何回も、しかも彼女と観に行きたいし、なんならロケ地に行きたいというくらい好きになってしまった。もちろんサントラ買います。

夢の部分では、主人公のどちらにも感情移入したし、男の方がやりたくもない音楽をやらされているシーンでは笑いながら号泣してたし(心の中で)、女のオーディション場面では「こりゃ受かるわ」と思いつつ、切実過ぎて何も出来てない自分が嫌になってしまったし、もうそういうシーンの連べ打ちという感じ。

観た人にはわかる話だけど、最後の怒涛の「ピアノシーン」。夢よ!!!さめるな!!!と思った。本当に感動した。

どれほど感動したかというと、最近鍋レストラン(雰囲気的にそう呼びたくない(笑))でホールの仕事をしていた時、男1人女2人の組み合わせの席のお客さんの男が「ララランド良かったよ!」と話していて、「あれ良かったっすよね」と会話に割り込んでしまったほど。

もし映画好きの友達が出来たら、夜が明けるまで語りたいと思った。

 

最後は、「モアナと伝説の海」。

これもなかなか面白かった。職場の女の子がこの映画で流れる歌(俺字幕だったから吹き替えの歌詞はあんまりピンとこなかったけど)を聞いていて、「俺も実は行ったよ!」と聞かれてもいないのに自慢してしまった。

この映画はまさに「一本で何本も映画を観た気がするお得な」映画だった。

でも、さすがディズニー。ちょっとカルト感が足りない。「フランケンウィニー」好きの僕からしたら、もう少し突出したものがあれば良かったかも。可もなく不可もなし感はいつもながら否めない(「カールじいさん」最新の「くまのプーさん」「ウォーリー」あたりは僕的に結構突出していた)。

あと、中途半端なミュージカルは「いるか?」と思ってしまったし…、それでも大満足で彼女も楽しんだから良いか。(サントラは買わない)

 

映画って本当に面白い。撮ってみたいとか出演したいとか、なんでも良いからちっちゃなことでも携わりたいとか思ってしまう。今の所、詩、絵、映画の順でやりたいことの夢になりつつある。

 

そういえば昨日、「イグジステンズ」を観た。

うん、わかんないけど、面白かった。面白かったけど、何が面白いのかはわかんなかった。

放り込まれる系の映画って多いとは思うけど(多いとはいえ、「スターウォーズ」しか思いつかないあたり、僕は「エセ映画好き」なのかな?(笑))、放り込まれ方が半端じゃなく、ついて行けなくなった。

インセプション」とか、「13F」を思い出した。

DVDすら買わないと思う(ニコニコで観ました。ごめんなさい)。

 

 

あと、バレンタインデー、ホワイトデーは過去最高の思い出になった。

バレンタインデーに貰ったチョコレートがとってもとっても美味しくて、今まで食べた中で一番うまいと感じた。

ホワイトデーには桜のネックレスと抹茶大福、抹茶生チョコをあげて(抹茶だらけ)僕の尽くし欲求を満たし、あげたはずの大福と生チョコを半分貰い空腹をも満たした。この生チョコが超うまい(知りたい人はコメント下さい)。

 

何だかんだ文句を言いつつも楽しい日々を過ごしているわけだけれども、今切実に願うことは3つ。「詩を書きたい」「絵を描きたい」「映画を彼女と観に行きたい」だ。 

 

おわり。

 

7:27

No.77 水面はいつも穏やかに佇み

 

 

詩人は釣り人と似ていると彼は言った
ひたすらに待ち続け
針にかかるのを待つしかない
詩人と釣り人の違いは
釣り上げたものがどんなガラクタでも
それを愛せるか愛せないかだ
詩人はガラクタを愛することが出来る
ガラクタを愛せない詩人はただの釣り人だ
針にかかる獲物が何かを選べるはずもない
釣り上げられたものこそがその価値なのだ

 

そして僕は彼の言葉に感化されて詩を書いた
色々な工夫をしてみた
煌びやかにして目に付く詩を書いたり
どす黒く水に紛れる詩を書いたり
釣り上げられたものは
片手で数えられるほどだった
しかし僕はそれを愛することにした
彼の言う「釣り人」にはなりたくなかった
確かにガラクタが紛れていることもあった
しかし僕は釣り糸を垂らすことをやめなかった

 

そしてある日 自分が詩を書く意味を求めた
途端に釣り糸は切れて針は浮きと流されて行った
その時に僕はこう考えた
(意味などないものこそが詩なのではないか)と
そして僕は新しい釣竿と
新しい釣り糸と新しい浮きと新しい針を買った
そして自分の好きな場所に垂らしてみた
すると釣れなくても楽しいことに気がついた

 

僕は釣り人ではなく詩人になれたと感じた
波紋が新しい詩を頭の中に語りかけていた
そして僕は今自由に詩を書いている
恥ずかしげもなく恥ずかしいことを書いている
彼と同じように何も求めずに
ただひたすらに何かを待ち続けている
詩人は釣り人ではないかも知れないが
永遠に待ち人であり続けるのかも知れないと思う

 

 

No.76 食べられない僕

 

 

食べられないものは全て無意味で
僕は生きるために生きているので
邪魔はしないで お願いだから
「食えない奴だ」と罵らないで

 

味付けするよ 愛想の良さで
甘味をつけて 毒舌のスパイス
僕はあなたの好みに変えるから
あなたも食える奴に変身しておくれ

 

楽しい飲み会 そんなものはない
酒も飲めないし 煙草がすすむだけ
暗い顔していると「情けない奴だ」
情けをおすそ分けするから放っておいて

 

わけのわからない台詞の端々に
鵜呑みに出来ないもので僕は傷ついて
喉はズタズタで 通らなくなったものを
吐き出してはまた席に戻る

 

帰りの電車 涙目なら もう明日から
口も聞かずに一人で閉じこもりたいけれど
僕は今生きるために必死に生きている
だからお願い 食べさせるから「食べておくれ」

 

自分で味付けて調理したはずなのに
必要な免許も持ってないから舌に合わないらしい
「食えない奴」は食えないまま腐って捨てられ
かろうじて三角コーナーに引っかかっている

 

皮肉という美味しいお肉があるから
ナイフとフォークで切り刻んでみて
肉汁が溢れると 僕の大切な何かまで溢れて
鉄板の上で音を鳴らして それが悲鳴に聞こえる

 

 

No.75 不都合な世界

 

 

姿形を真似してみても
鏡の前では正直ね
くまが出来てみすぼらしい
同情する男に抱かれた後

 

夢を見た 愛されていた
白馬に乗ったゾンビが
私を食べて 残りを捨てた
白馬が私を踏んづけた

 

ありがとうと 呟いたら
ゾンビは会釈をして去った
苦しいけれど 気持ち良かった
こんな死に方なら素晴らしい

 

きっと私は 違う星から来て
その星に夫と子供がいて
「首を長くして待っている」と
泣きながら囁くと目が覚めた

 

空を飛ぶ鳥に挨拶をして
宙を舞う埃に口付けて
またこの顔を飾り立てて
男の元に辿り着くの

 

私は今 何をしているのか
わからなくなるたびに心地良い
生きているか死んでいるかわからずに
彷徨う白馬のゾンビ様のように

 

私は行き着いた ビルの屋上から
秘めた恋心の先にある彼を見て
届かない腕を伸ばしながら
しっかりと靴を脱いで揃えている

 

彼とは口をきいたこともない

彼との時間は私にしか見えない

あの男に抱かれていた時も

目を閉じて彼に抱かれていた

 

言い残すこと たいして見つからない

彼に伝えるべき言葉もない

空には朝に出会った鳥が飛んで

私の肩には口付けた埃が付いている

 

 

No.74 シルクハット

 

 

暗がりで発光するシルクハット

目を凝らしても素顔は見えず

スチームパンク気味の都会の中で

浮いて見える青いシルクハット

 

 

何処かに消えても誰も追いかけず

誰かに話しかけることもなく

ただただ時たま現れては消える

発行する青いシルクハット

 

 

どうしても僕は追いかけたいのに

追いかけようとした瞬間に消える

どうしようもなく不安になるから

シルクハットを被って色を塗る

 

 

同じような人が増えてきた

僕は浮浪者と友達になった

疲れ果てて残飯を漁りながら

青々と光る暗がりのシルクハット

 

 

合わさったピースが欠けたら

繋ぎ合わせるために身を削った

都会の尖った場所に当てはめ

僕のいる場所と決めたシルクハット

 

 

紳士でもないのに澄ました顔で

時代錯誤なのに気が付かないで

頭皮にくっつき離れなくなった

ややこしく光り続けるシルクハット

 

No.73 友達いらない

 

友達いらないなんて
強がりを言って笑って
本当に一人になれば
誰かを求めるくせに

 

くだらないこと喋ると
くだらない悩みが消えて
くだらなくないことだけ
気付かせてくれるのは誰?

 

小鳥のような囀り
あれから変わった景色
みんな大人になったら
昔話の花咲かせ

 

くだらないこと喋ろう
くだらない悩み語ろう
くだらなくなくなるまで
気付かせてあげられるまで

 

多数決で負けたとして
少数派は寂しくて
そんなとき会いに行くよ
作り話の花咲かせ

 

くだらないことで笑い
くだらない悩み忘れて
くだらないくだらないって
うわ言のように繰り返し

 

くだらないことしかない
くだらなくなくならない
くだらない僕はいつも
誰かに語りかけている